フリーター→ぜい弱性診断士|趣味のアプリ制作の経験からセキュリティの道へ
🕒 2025.05.23
そんな疑問に答えてくれたのが、『埼玉県警察』のサイバー局の皆さんです。
今回は、実際にサイバー局で働く方々にインタビューし、サイバー局での仕事について、埼玉県警察のミッション、サイバー局として採用したい人物像、女性採用や体力面の不安、必要とされる資格やスキル、サイバー犯罪捜査官のキャリアパス/将来性などの様々な内容のお話を伺いました。
・サイバー対策課 企画・戦略推進係(以降、【サ対】と記載)
・サイバー捜査課(以降、【サ捜】と記載)M巡査
・サイバー捜査課(以降、【サ捜】と記載)U巡査
組織名 | 埼玉県警察 サイバー局 |
採用したい人材 | 自分のITスキルを人々の安全・安心に役立てたい方 |
サイバー犯罪捜査の受験資格 | ・IPAの情報処理技術者試験(情報セキュリティマネジメント試験、ITパスポートを除く)の合格 ・情報処理安全確保支援士の合格 |
サイバー犯罪捜査官の面白さ | ・民間企業ではできない攻撃者の捜査ができること ・新しい捜査手法や解析技術などを官民で連携し考えること |
HEATWAVE
まずは、簡単に『サイバー局』について教えてください。
サ対
埼玉県警察では、深刻化するサイバー空間の脅威に対処するため、令和5年4月1日に、県警の新たな組織として「サイバー局」を新設しました。
サイバー局内には、下記の2つの所属があります。
・サイバー対策課:サイバー犯罪の未然防止のための広報啓発や県警の警察官のサイバーに関する能力向上のための教養を担当する
・サイバー捜査課:高度な技術が悪用されたサイバー犯罪の捜査や各種犯罪に使用されたパソコン等のデジタル機器の解析などの技術的な支援等を担当する
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『サイバー犯罪捜査Ⅰ・Ⅱ類採用(サイバー捜査官採用)』は、どのように行われていますか?
サ対
埼玉県警察の警察官採用試験では、一般の試験区分とは別に、増加するサイバー犯罪捜査への対処能力向上に向け、情報通信技術に素養のある人を警察官として採用するため、「サイバー犯罪捜査Ⅰ・Ⅱ類」という試験区分を設け、採用試験を行っています。
大学卒業(見込みを含む)の方はⅠ類、それ以外の方はⅡ類と別れており、一般の受験資格とは別に、情報処理に関する検定を有していることを受験資格としています。
早期に捜査の最前線で活躍をしてもらうため、サイバー犯罪捜査Ⅰ・Ⅱ類採用者には特別なキャリアパスが設けられています。
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『サイバー犯罪捜査部門』は、どのような仕事になりますか?
サ捜(U巡査)
サイバー犯罪捜査部門では、主にコンピュータやインターネットを利用した犯罪の取締りをする仕事をしています。
具体的には、不正に入手したIDやパスワードを使った不正アクセス事件やマルウェアを使った事件を捜査しています。
サ捜(M巡査)
通常の警察業務と比べて、パソコンやスマホ等の電子計算機が関係する事件を多く取り扱うので、それらの電子計算機の解析業務を主として行っています。
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『サイバー犯罪捜査Ⅰ・Ⅱ類の採用者』は、『サイバー対策課』と『サイバー捜査課』のどちらかに配属される形でしょうか?
サ対
基本的にサイバー犯罪捜査Ⅰ・Ⅱ類の採用者は、警察学校卒業後、警察署での勤務を経てサイバー捜査課に配属となり、その後は本人の希望や適性等を踏まえた業務を担当してもらうことになります。
サ捜(U巡査)
サイバー捜査課に配属された後は、それぞれの係に別れます。
係ごとに業務内容は違い、警察署の事件で押収した証拠品のスマートフォンやパソコンを解析する係や事件を捜査する係、サイバー犯罪捜査の知識を生かして各警察署の支援をする係など、係ごとに様々です。
サ捜(M巡査)
担当については、サイバー捜査課に配属される際に希望調査があり、現在私は希望していたサイバー犯罪の捜査を担当する係で勤務をしています。
業務内容は、サイバー犯罪に限らず通常の事件捜査で行っているような、事件の認知、捜査、犯人の逮捕、事件の解明がベースとなっています。現場での捜査がメインになるので、スマホやPCの解析がすべてではないですが、詳細な解析が必要な場合は解析業務をメインとしている係と連携しています。
HEATWAVE
埼玉県警察のサイバー局の『特徴』や『強み』があれば教えてください。
サ対
サイバー対策課とサイバー捜査課がそれぞれ独立した課として機能しつつ、県警察のサイバー部門のトップであるサイバー局長のもと、互いの課が連携しながら、これまで以上にサイバー事案に対処することができることが強みと言えると思います。
具体的には、サイバー捜査課の事件捜査により判明した犯行手口について、サイバー対策課で今後の再発防止のための企業連携、被害防止のための情報発信を行うなどしています。
HEATWAVE
実際にサイバー犯罪捜査を担当してみて、『やりがい』や『面白さ』を感じる部分を教えてください。
サ捜(U巡査)
私がやりがいや面白さを感じる部分として、2点ほどあります。
1点目は、
民間企業ではできない被疑者(攻撃者)の捜査ができることです。
警察では、様々な捜査手法を使って被疑者特定に向けた捜査をすることができます。これは、民間企業ではできないことであり、被疑者を特定し、検挙できた時は非常にやりがいを感じます。
2点目は、
新しい捜査手法や解析技術などを官民で連携し、検討することです。
日々高度化するサイバー犯罪に対応するため、官民で連携を図り、被疑者検挙のための解析手法やそれを応用した捜査手法などを考えることに面白さを感じます。
サ捜(M巡査)
警察官として必要な捜査能力が基盤にあって、さらに加えてサイバー捜査能力がある優秀な人達で構成されているので、「自分自身もあの人の様な立派な警察官を目指そう」と日々奮闘することが出来ます。
また、ログやIPアドレスから、これを手掛かりに犯人につながる情報を得ることができるのかと驚いたり、そういった捜査の面白みも感じています。
HEATWAVE
最近対処した『サイバー犯罪』について教えてください。
サ捜(U巡査)
現在は、企業を狙ったランサムウェアグループのログ解析を行っています。
ログに記録されているIPアドレス等を追跡することで、被疑者検挙、実態解明につながるように日々捜査しています。
サ捜(M巡査)
昨年末以降、県内でインターネットバンキングの不正送金事案が多発したことを受け、それらの事件捜査をしています。
HEATWAVE
埼玉県警察としてサイバー犯罪対策で『今後特に力を入れたい取り組み』は何でしょうか?
サ対
情報通信技術の発展が社会を豊かにしている半面、インターネットバンキングに係る不正送金事案の急増や、SNS型投資・ロマンス詐欺の発生など、インターネット上の技術・サービスが犯罪インフラとして悪用される事案が増加傾向にあるほか、国内においてもAIなどの高度な技術を悪用した事案が発生するなど、サイバー空間の脅威は深刻な状況となっています。
サイバー空間の安全・安心を確保するために、サイバー事案の検挙に向けた取組はもちろん、埼玉県警察全体として捜査員の情報通信の知識・技術の習得、サイバー関連分野の知見を有する人材の確保を推進するとともに、企業・業界団体などさまざまな主体と連携して被害の未然防止・拡大防止対策等を推進していきたいと考えています。
サ捜(U巡査)
最近は、フィッシングサイトを使用した不正送金事案などが多いため、民間企業と連絡を密にし、被害防止につながるようにしたいと思っております。
サ捜(M巡査)
捜査を担当しているなかでも、企業や個人を狙ったメールに対抗すべく、啓発活動や訓練等を実施する必要があると強く感じています。
HEATWAVE
サイバー局として『採用したい人物像』について教えてください。
サ対
民間企業も警察も、社会のニーズに応えるという部分は変わりないと思いますが、警察は直接的に「人を守る」仕事であるという点が大きな特徴だと思います。
我々サイバー局は、安心してインターネットを利用することができるよう、サイバー空間の安全・安心を守るという役割を担っていますので、自分が身につけたITスキルを人々の安全・安心に役立てたいという気持ちを持っている方をお待ちしています。
HEATWAVE
サイバー対策課、サイバー捜査課の現場では、『女性比率』はどのくらいですか?
サ対
警察というと、男性中心の職場をイメージされるかもしれませんが、埼玉県警察では積極的に女性警察官の採用を行っています。
サイバー対策課、サイバー捜査課のいずれの課も2割以上が女性警察官であり、サイバー局は女性が活躍している職場です。なお、令和7年度においては、サイバー犯罪捜査Ⅰ類として女性警察官を採用しています。
また、埼玉県警察では、男性、女性にかかわらず、仕事もプライベートも充実できるよう、ワーク・ライフ・バランスを推進しています。
例えば、仕事に関しては、業務に必要な能力を身につけるための各種研修制度が用意されていますし、プライベートに関しては、通常の年次有給休暇や夏季休暇のほか、育児や介護のための休暇など約20種類もの休暇制度があり、趣味や家庭のための時間を確保できる制度が充実しています。
HEATWAVE
セキュリティエンジニアやセキュリティ業界を志す方は、日頃から鍛えていなかったり、運動習慣がない方もいらっしゃると思うのですが、『体力試験』にはどのように備えたら良いでしょうか?
サ対
埼玉県警察の体力検査では、採用試験案内に検査項目を明記しています。
目安もそれほど高いレベルではないので、仕事終わりや空き時間を活用して継続的に準備をしてもらえれば充分クリアできると思います。
現在、サイバー犯罪捜査官の採用試験の応募期間中!(7/15~8/27)
HEATWAVE
サイバー犯罪捜査担当として業務をスタートした後も、『体力訓練』は続きますか?
サ対
警察学校で基礎的な体力訓練、武道訓練等を経験することになりますが、その後も警察官として必要な体力や技術を維持・向上させるために、定期的に訓練は行われます。
採用時には武道や運動の経験が少なかった人も多いですが、警察学校では丁寧に指導をしており、経験の有無にかかわらず職務に必要な体力や技術を身につけることができますので、安心してください。
HEATWAVE
『サイバー捜査官』を目指すために、推奨される『資格』や『スキル』があれば教えてください。
サ対
サイバー犯罪捜査の特別採用の受験資格として、IPAの情報処理技術者試験(情報セキュリティマネジメント試験、ITパスポートを除く)の合格(見込みを含む)、情報処理安全確保支援士となる資格を有する人(見込みを含む)としています。
そのほか、情報通信技術に関して、得意分野・専門分野があれば活躍の場は広がると思います。
HEATWAVE
『ITの実務経験がまったくない』場合だと、採用試験を通過することは難しいでしょうか?
サ対
サイバー犯罪捜査Ⅰ・Ⅱ類採用の受験資格では職歴は不要ですので、実務経験がなくても大丈夫です。
文系の学部出身でも、受験資格を満たしていれば大丈夫です。
HEATWAVE
サイバー犯罪捜査官としての『キャリアパス』について教えてください。
サ対
サイバー犯罪捜査Ⅰ・Ⅱ類採用の場合、一般の警察官採用者と同じく警察学校に入校しますが、通常の教養や訓練に加えて情報通信技術やサイバー捜査に関する特別授業を行っています。
警察学校卒業後は、サイバー捜査課や警察署の生活安全課でサイバー犯罪捜査の研修等を経て、サイバー捜査課に配置となります。
配置時点での階級は巡査ですが、昇任試験に合格することで一般の警察官同様、巡査部長、警部補、警部等とステップアップすることが可能です。
キャリアアップについては、学歴、性別を問いませんので、本人の意欲と頑張り次第で将来の可能性は無限大です。
HEATWAVE
『警察学校』で行われる『情報通信技術やサイバー捜査に関する特別授業』とは、どのようなものになりますか?
サ対
現役のサイバー局員や民間の有識者が講師となり、サイバー空間を取り巻く犯罪の現状やサイバー犯罪の手口等、サイバー犯罪を捜査するうえで必要となる知識等を身につける授業を行っています。
今回は、『埼玉県警察(サイバー局)』の皆さんに、サイバー局での仕事について、埼玉県警察のミッション、サイバー局として採用したい人物像、女性採用や体力面の不安、必要とされる資格やスキル、サイバー犯罪捜査官のキャリアパス/将来性についてお話しいただきました。
ポイントは以下の通りです。
・埼玉県警察は、サイバー空間の脅威に対処するため、令和5年4月1日に『サイバー局』を新設!
・埼玉県警察では、サイバー犯罪に対抗することのできる『サイバー犯罪捜査官』を現在募集中!
・採用したい人物像は、自分のITスキルを人々の安全・安心に役立てたいという方‼
サイバー空間の安全を守るの『サイバー犯罪捜査官』のような働き方をしてみませんか?
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